いつか、きっと。
十月に入り、いよいよ今日からおくんちが始まった。

約束通り、先月末は図書館デート。

勉強は嫌だけど友也と一緒に居られるし、何より友也が私のために分からないところを教えてくれて嬉しくて仕方なかった。

友也のためにもテスト頑張って成績を少しでも上げよう!

その思いから、私はおくんちにも行かずに一人でも勉強に打ち込んだ。

本当はちょっとくらい行ってもいいかなって思ったけど……。

未来を誘ってみたらあっさり断られてしまったから。

『テツ先輩から誘われたから……ごめんね!』

いいなぁ、未来。

未来は田代先輩と付き合っているのかどうなのかハッキリ言わないけど、かなりいい感じのようだ。

羨ましくないと言えば、完全に嘘になる。

本当は私だって友也と一緒におくんちに行きたかった……。

その悔しさを今はテスト勉強に向けよう。

そう決心した私は友也からのアドバイスをしっかり守って苦手な数学も頑張って何度も何度も復習した。

そんな私の姿を見て、お母さんは不気味がってたけど。



おくんちにも行かず頑張って勉強した甲斐あって、中間テストの成績は今までにないくらい良かった。

クラスで五本の指に入る上位の成績だったなんて!!

自分でもビックリだ。

努力は嘘をつかないって本当だったのね。

いつもだったら足を引っ張る数学も、今回最高得点をマークしたし。

これはどう考えても友也先生のお陰だ。

友也に報告したら喜んでくれるかな?

今日早速メールしてみよう!

本当はメールなんかじゃなく会って直接言いたいけど、テストが終わってまた部活に打ち込んでるんだろうしなぁ。

今夜、電話してみようかな。

メールだと間接的だしやっぱり味気ないと感じてしまう。

普段の他愛ない話題ならメールで十分だけど、こんな大事な報告は自分の声で伝えたい。

友也に報告する前に家に帰ってお母さんに返って来たテストを見せたら驚き方が尋常じゃなかった。

「明日美!?こないだからなんか様子のおかしかねって思っとったら……。おくんちにも行かず……。さては、フラれた?」

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