いつか、きっと。
友也はいつもだったら部活を早退してくるけど、今日は休むというのでちょっと早めの待ち合わせになった。

それほど大事な話なのかと思うと、また緊張が募ってくる。

先に定期券を買って友也を待っていた私は、友也に会うのがちょっとだけ怖いような気がしていた。

友也とゆっくり会える毎月恒例の定期券購入日。

こんな複雑な気持ちになるのは初めてだ。

友也、私に一体何を伝えようとしているんだろう……?

「おう、明日美!やっぱ俺が遅かったな。買って来っけん待っとって」

友也、いつもと特に変わった様子は見られないけど。

定期券を買って戻って来た友也と一緒にバス停に向かうと、ちょうどバスが来たから待ち時間のロスなくバスに乗ることが出来た。

「タイミング良かったな。俺んち茶菓子とかあるかどうか分からんけどよか?」

「よかよそがんと気にせんで。なんならバス降りてコンビニで買って帰ってもよかし」

友也は私ほど緊張してないのかな?

バスを降りてコンビニに寄り道。

お菓子は今日はやめて、飲み物だけ買うことにした。

私はカフェオレ、友也はスポーツドリンク。

だいたいいつも飲むのは決まってるからサッと選んでレジに行こうとしたら、横から手が伸びてきて奪い取られた。

「今日は俺がおごるけん」

「いやいや、『今日は』って!いつも友也がおごってくれるたい。たまには私が……」

聞く耳を持たないのか、思いっきり無視してレジで支払いを済ませてしまった友也。

アパートまで二人並んで歩く。

「ごめん友也。いつもいつも、なんか悪かような気のするとけど」

「嫌ならおごったりせんさ。俺の気持ちやけん『ごめん』とか言うな。明日美が喜んでくれた方が俺は嬉しかとけど?」

あっ、そうだよね。

つい申し訳なく思ってしまうけど、こういう時は謝るよりも……。

「わかった。いつもありがとう友也!」

「おう、そいでよかっさ。明日美は笑っとけばよかよ」

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