いつか、きっと。
「おじゃましまーす……。あれ?静かかね」

「うん。ちょっと福岡のばあちゃんとこに行っとるけん、帰りは夜になるって」

え、ちょっと!

ということは、正真正銘の……二人きり?

友也の部屋でこの前の勉強会の時のように、向かい合って座る。

テーブルの上にはカフェオレとスポーツドリンク。

そして部屋の中に漂う緊張感は私だけが感じているものなのか。

友也は…………。

「今日はわざわざ来てくれてありがとうな。じゃあ早速けど、本題に入らせてもらうけど、よか?」

き、きたっっ!!

とうとうこの時が来ちゃった。

もう逃げることもできないし、覚悟を決めるしかなさそうだ。

「ど、どうぞ……」

なるべく平静を装って答えたけど、ドキドキをうまく隠せたかどうか分からない。

だって仕方ないじゃないの……。

こういう場面って誰だってドキドキするものじゃないの?

「中学の卒業式の日、明日美に誓ったことのあるやろ。覚えとる?」

卒業式の日……。

あの日の事なら覚えてるに決まってるでしょ!

「もしかして『高校生の間は彼女は作らん』って言った、アレ?」

私に誓うって言ったのはコレしかないはずだけど。

それが、どうしたって言うんだろう?

「そう、ソレ。堂々と誓っておきながら今更こがんことば言い出すとも……。言い出しにっかとけど……」

「え、どういうこと?まさかあの誓いは撤回するとか……?」

なんか雲行きがどんどんどんどん怪しくなっていく。

この流れってどう考えても嫌な感じだよ。

友也の表情も気まずそうに見えるし。

「あっいや、撤回っていうととはちょっと違うかな。うーんいざとなると上手く言えんな。どがん風に言えば上手く伝えられるとか難しか。誤解ば招いたりせんごと言いたかったとけど」

よく分からないけど、複雑な話みたい。

私に果たして上手く理解できるのか心配になって来た。

「とにかく、話してみてよ。このままじゃ埒の明かん」

「だよな。じゃあ言うけど明日美、俺の彼女にならんか?」

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