いつか、きっと。
………………え、ええっ!?

「いま、なんて言った?」

「いやだけんさ、俺の彼女になってくれんか………………」

ちょ、ちょっと待って!!

私の空耳か、妄想の果てに聞こえた幻聴かと思ったけど!!

ホントにホントにホントに本当???

友也が私に『彼女になって』って言ってるの???

だ、ダメ頭がショートしそう。

思考停止寸前……。

「彼女……彼女?……私が、友也の……?」

でっでもさ、その前にもっと大事なことを忘れてないかな。

普通さ、その前にもう一段階、あっていいんじゃないのかな。

だってさ、そういうものってまずお互いの気持ちを伝え合うべきなんじゃないの?

私の気持ちはとっくの昔に決まってるけど。

友也は?

「おい、おい、明日美!ちゃんと俺の話聞いとったか?一人でトリップすんなよ」

……………………え、トリップしてた?

「聞いとったよ。私に『彼女になって』って……やろ?」

「その後は?」

へ?その後って、何か言ったの?友也。

「もう、やっぱりちゃんと聞いとらんやったな。だけん"フリ"って言いよると。意味分かった?」

フリ……フリって、もしかして。

「彼女の…………フリって、こと?」

「そう。明日美が俺の彼女っていうフリ。……どうかな」

どうかな、なんて聞かれても。

彼女のフリってことは、つまり本当に付き合うんじゃないってことでしょ?

「話の唐突すぎらん?どうして私が友也の彼女のフリばせんばいけんとか、まずそれば説明してほしか。そうじゃなからんば、私も答えようのなかよ。一体どういうこと?」

「まあ、そりゃそうたいな。訳も分からず返事できんとは当たり前。じゃあ俺の説明ば聞いてもろうてから返事ば聞くけん。実は田代先輩が……」

出たよ、田代先輩。

なんとなくだけど、この人の名前が出てくるような予感はあった。

「青柳さんと付き合いたからしかっけど、なかなかOKしてくれんって嘆いとる」

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