いつか、きっと。
「未来、田代先輩のこと好きやろうと思うけど。ハッキリとは聞いとらんけど『テツ先輩が』ってよう嬉しそうにしとるし」

「そうさ、そうやろ?そいとになんで彼女になってくれんとか、知っとる?」

未来がなんで田代先輩の彼女にならないのか。

私だって不思議に思っていた。

「分からんよ。未来はそのことについては何も言わんけん」

「先輩が言うには、青柳さんは明日美のことば気にしとるらしか。自分だけ先に彼氏作ったら悪かと思っとるとじゃなかかな」

「えっ!?私のせい……」

そんな!

私と友也は親友だから付き合うことはないけど、だからって他の誰かと付き合うなんて有り得ないし。

友也が彼女を作らないと誓うなら、私だって彼氏を作るつもりもない。

まさかそういう二人の事情を未来に話すわけにはいかないし。

「そして田代先輩がまた可笑しなことば言い出して、俺もちょっと困っとるとさ……」

可笑しなこと?

「そいがさ、『もし未来ちゃんがどうしても彼女になってくれんとなら、諦めて明日美ちゃんにアタックしようかな』……とか言い出してさ」

「はっ?私!?なんで……」

未来がダメなら私!?

田代先輩、何を考えてるの?

「もともと先輩は明日美のことば気に入っとったけんな。青柳さんと仲良うなってからは気にしとらんやったけど、やっぱりあの人は要注意人物ばい。そこでよかことば思い付いたっさ!」

『よかこと』って言うのは、まさか?

「……私が友也の彼女のフリするってこと?」

「そう。俺たちが付き合っとることにすれば、先輩は明日美に手出しせんやろうし。青柳さんも安心して先輩と付き合ってくれると思わん?」

一石二鳥、とでも言いたいのか。

未来が私のことを気にして田代先輩と付き合うのを迷っているのなら、私も応援したいと思うけど。

引っ掛かるのは……フリってこと。

結局、未来や田代先輩に嘘をつくってことだよね。

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