いつか、きっと。
「じゃあさ、未来と田代先輩以外の人たちには?嘘のバレんごとするためには二人だけって訳にはいかんとじゃないと?それにどっから噂の広まるか分からんし」

あんまり嘘はつきたくないけど、どのくらいの範囲でっていうのはきちんと決めておかないと……。

「ああそれならちゃんと考えとる。お互いの親だけには本当のことば言うけど、それ以外には俺たちが付き合いよることにする。つまり、世間公認の彼氏彼女ってことになるけど……よか?」

世間公認……!

それって嘘とはいえ本当に彼氏彼女だって認識されるってことだよね。

「わっ、私は構わんけど……。友也はよかと?私が友也の彼女だってみんなに思われても。い、いくら、偽者でも」

「だけん、嫌ならこがんこと明日美に言える訳なかろ?」

……ってことは、友也は私が彼女の設定でOKってことか。

私だって友也が彼氏の設定ならなんの文句もない。

っていうか、私にとっては夢のような話だし。

まあ、偽者だけど。

「じゃあ後はお互いの親に事情ば話して……」

「ちょっと待って友也」

親には本当の事を話すって言ったよね。

私たち付き合ってるフリなんだってことを。

「私、お母さんたちには言いとうなか」

「言いとうなかって、なんば?」

「だけんが、フリってこと。どうせなら親にも付き合っとるってことにしたか」

ダメ……かな。

「なんでや。俺としてはおばちゃんやおじちゃんには誤解されとうなかけん、本当の事ば話さんばいけんと思うとけど」

変なとこ真面目な友也のことだから、そう言うだろうなとは思ったけど。

ここは私も簡単に引くわけにはいかない。

「うちのお母さんの場合『付き合いよるフリ』とか言うた方が混乱するとじゃなかかなって思う。そこらへんば上手く言いくるめられるか自信なかし」

本当はそれだけじゃないんだけど。

お母さんは私が友也を好きだってこと、気付いてるはず。

だから『フリ』だなんて、できれば言いたくない。

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