いつか、きっと。
宿泊会の翌日、家に帰ると携帯にメールが来ていた。

『もういつでもおばちゃんたちに話してよかぞ。俺はもう親に話したけん。ちゃんと母ちゃんには釘さしとるけんな。とりあえず高校卒業まではよろしくな!俺の彼女へ  ともや』

さすが友也、さばけてる。

もう準備万端整えてくれたんだ。

それじゃ今夜にでもお母さんとお父さんに言おう。

……自分から友也に頼んだとはいえ、親に嘘をつくとなると後ろめたい気持ちになる。

でも嘘も方便って言葉もあるし、親子でも秘密くらいはあるよ。

そう、きっとお互いさまだよ……。

それにしても、友也からのメールに書いてあった『俺の彼女へ』って言葉が頭から離れてくれない。

そう、私は友也の彼女。

例え偽者だとしても。

"偽者"ってことを自分に言い聞かせておかないと、つい本気で彼女になったと思いたくなってしまう。

でも、いいじゃない偽者だって。

私以外にはいないんだもん、友也の彼女は。

友也からゴーサインが出たから、その日の夜に打ち明けることにした。

日曜日でお父さんも家にいるし丁度いい。

あとで何か言われるよりも自分の口で伝えた方がいいよね。

「あっあのね、お父さんお母さん。実は私、友也と……付き合うことになったけん」

「へぇーそうね。良かったね明日美。ね、お父さん」

「ほーそうかそうか。友也と付き合うとか。そうかそうか」

え、なんか予想してたリアクションと違う。

緊張感なくて拍子抜けしちゃった。

それに台詞が棒読みだと思えてしまったんだけど、気のせい?

「もうちょっと驚くか、興奮するかと思ったとに……」

「だ、だっていつかきっとそういう事になるやろうって思っとったし!だけん心の準備は万端やったっていうか……。ねえ、お父さん!」

「お、おう……」

そっか、そうだったんだ。

じゃあさっきのリアクションも納得できるかな。

ここでもしも私が『実は"フリ"やけどねー』なんて言い出したらどうなるだろう。

今度こそ驚くかな。

……言えるわけないけど。

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