いつか、きっと。
契約期間が終われば
『これって……フリなんだよね?』

私の高校生活中に一番心の中で呟いたと思われる台詞。

『フリ』といえば勿論、友也の彼女のフリのことだけど。

どうしてなのかというと、友也と私は本当に付き合っているんじゃないかって勘違いしてしまいそうだから。

だって友也、誰から見ても私が"彼女"だって思うような振る舞いだし。

それはまあアピールしとかないといけないっていうのもあるんだろうけど、どうもそれだけじゃない気がしてしまう。

周りに対するアピールだけなら、ここまでしなくてもいいんじゃないの?って思う事も少なくない。

例えば二人きりの時、誰も見てないんだから"カレカノ"から普通の"親友"に戻ってよさそうなのに。

明らかにただの"親友"でいたあの頃とは雰囲気が違うのだ。

私を見つめる瞳とか、軽いボディタッチとか……。

そんな態度って私を調子に乗らせるだけなのに。

相変わらず友也が何を考えているのか、よく分からない。

でもそれを追求してしまうのは出来ずにいた。

だって、契約打ち切りとかになったら嫌だし。




私の部屋で二人きりで雑談してた時のこと。

私たちは会う時間をなるべく作ろうとたまにお互いの部屋を行ったり来たりするようにもなった。

夜は勿論必ず母親同伴だけど。

たまにお父さんたちも混ざって宴会に発展したりもしてた。

親は親同士仲良く楽しんでいるみたいだけど。

「友也、無理しとらん?二人だけの時くらいは気ぃ抜いても大丈夫やろ」

「なんでそがんこと言うかな。無理しとるごと見えるか?」

友也のためを思って言ってるつもりなのに、いかにも心外だと言わんばかりの反応。

「いや、そうじゃなかけど。今日も本当は早う自分の部屋で休んだ方がよかっじゃなかかな。部活で疲れとるやろ」

「俺そがんヤワじゃなかけど。いくら『フリ』とは言え他人に見られるときだけそれらしくしてもいつかボロの出るし、普段から一緒におって雰囲気作っとかんば。それとも……明日美が嫌とか?嫌なら俺もう帰るけど……」

「なんでよ!私はいつでも友也と一緒におりたかとに」

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