いつか、きっと。
それからどのくらいの時間が経ったのか。

私は壁にもたれたままの体勢でずっと友也から与えられるキスを受け続けていた。

ずっとくっついたままだった訳じゃないけど、たまに離れてはまたくっついて……。

今までのキスと違うのは、ただ唇が触れるだけじゃないってこと。

さっきみたいに舌で唇を舐められたり、私の唇を優しく挟むように食まれたり。

友也ったら、こんなキスの仕方を知ってるんだ。

私はどうしたらいいのかさっぱり分からないから、友也にされるがまま。

だって『私も舌を動かした方がよかと?』なんて聞けるわけもない。

もし聞けたとして『じゃ、動かして』なんて言われたらどうするの!?

友也のキスはいつでも優しい。

今日だっていつもよりも積極的なキスとはいえ、触れかたは丁寧で優しさが溢れている。

それに、すごく気持ちいい。

友也の唇も舌の感触も柔らかく、ずっとずっと触れられていたい気持ちになってしまう。

小休憩、みたいな感じで唇が離される。

その短い間さえも、また早く触れて欲しいと願ってしまうなんて。

私、変になってしまったのかな。

離れたとは言ってもすぐそばにある友也の唇を見ていると、その唇が動いて私にこんな要求をしてきた。

「明日美、口ば開いて」

えっ、口?

今?今すぐってことかな。

なんかちょっと恥ずかしいけど……。

「わかった。…………こう?」

そう言ってからおずおずと口を少し開けて見せた。

すると、待ってましたとばかりに同じくらいに少し開いた唇が重ねられる。

友也の舌が、私の口の中に入ってきてビックリした……その時。

『おーい友也!聞こえるやろ、友也~!!明日美ちゃんも一緒にちょっとこっちに来んか~』

ま、またっ!?

今度は友也のお父さんが呼んでる!!

それでも無視してキスを続ける友也。

ヤバイよ!二回目だし今度は行った方が……。

『おーい明日美に友也!来んとならそっちに行くぞ?』

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