いつか、きっと。
「う~ん……どうすっかな。時間なかけん終わるまで毎日せんばけどよか?自由研究のための本とかあるし、なんとかなるやろ」

さすが友也!

頼りがいのある男友達だ。

「本当に?よかったー!で、どうすればよかと?」

友也は少し考えてから言った。

「とりあえずなんばすっとか決めんばけん、学校から帰ったら俺の家(おいんち)に来れば?」

「お昼ご飯食べてからよね」

だって、ご飯食べないとお腹空くじゃない。

そこは重要ポイントでしょ?

「当たり前たい。腹減ったらよか考えも浮かばんけんな。明日美の自由研究の終わらんば、花火大会にも行かれんごとなる」

…………花火大会?

キョトンとしてしまった私に友也が教えてくれた。

「明日美は知らんかも知れんけど、学校の近くで毎年花火大会のあるとさ。クラスの何人かで行こうって言いよるけん、明日美も行こうで!」

クラスの友達と……?

友也は人気者だからいいけど、私なんかが一緒に行ってもいいのかな。

もしも気まずくなったり気を使われたりしたら、どうしよう。

そんな思いをするくらいなら、私は行かない方がいいんじゃ……。

後ろ向きな考えが浮かんでしまった私に友也が意外な事を言った。

「みんながさ、もっと明日美のことば知りたかって言いよったよ。それでおいに頼んでくっとさー。明日美ば絶対に連れて来いって。明日美はもしかしたら気が乗らんかもしれんけど、みんなともっと仲良くなれればよかっじゃなかか?」

そんな……。

まさかクラスの友達がそんな風に私のことを考えてくれてたなんて。

自分から飛び込むのが怖くて、仲間に入っていいのか分からず距離を取ってしまっていたのかも、私。

「……私も行ってよかとなら、行こうかな?私だってみんなと仲良うなりたかし。それに花火大会って楽しそう!」

「そんならまず、やることやってからな!二十八日までには終わらすっぞ。な、明日美」

さっき友也は私の自由研究が終わらないと花火大会に行けないって言った。

花火大会は二十九日らしいから、あと一週間だ。

「花火大会までに終わらせられるように頑張るけん!!」

私ひとりでやるんだったら無理だろうけど、頼りになる友也を味方につけたから大丈夫な気がしてきた。

楽しみが出来て学校への足取りも軽い。

学校でクラスメイトに会ったら、自分から花火大会のことを話してみよう。

友也のお陰で自由研究も頑張れそうだし。

新学期が近づいてきて気分が沈みがちだった私は、とたんに元気を取り戻す事が出来た。


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