いつか、きっと。
「明日美、今日は俺たち初めてのおくんちデートばい!行くぞ」

私の手を握って歩き出した友也に引っ張られるようについていく。

友也も私と同じ気持ちでいてくれてるの?

私と一緒におくんちに行きたいって思ってくれてた?

一年前に『時期尚早』なんて言ってたのを思い出す。

あの時には一年後どうなってるかなんて分からなかったけど、友也にはこうなるってことが見えていたのかな。

もしかしたら友也って未来の事が見えていたりして。

だとしたら、二人の未来ってどうなっているんだろう。

私たちずっとこうして手を繋ぐことができる関係でいられるんだろうか……。

お旅所でお参りした後、大波止周辺の出店を見て回った。

浜町のほうにも足を延ばしてみると、アーケードの中央で川船を観ることが出来た。

凛々しい船頭さん(小学校高学年くらい)の網打ちがとってもカッコ良かった。

その後、出店で色々買って帰り、夜は御子柴家にみんな集合。

みんなで食事した後は友也の部屋で試験勉強。

その日の別れ際のキスはチュッと唇を掠めた程度で正直物足りなかったけど……。

「テスト終わるまではこれで我慢な」




それからも友也と私は高校生らしく"節度ある"付き合いを続けることができた。

そう"節度ある"ね。

友也と細かく確認し合ったわけではないけど、キスまでならOKってことなのかな。

だって友也、それ以上には進もうとしないし。

我慢してるのかな?それとも私が相手じゃキス以上の関係になりたくないとか……。

私は、友也が相手なら今以上に深い関係になってもいいと思っているけど。

まさか女の私からそんなこと言えるわけないし。

だけど私だってなにも"今すぐ"なんて思ってない。

先々、そういう深い仲になれたらいいなっていう願望を持っているということ。

友也はどう思っているんだろうか……。

先の事はまだわからない。

もしも高校卒業して付き合ってるフリの契約が解消されてしまったら、私たちはどうなるんだろう?

また普通の親友に戻ってしまうんだったら、このままフリでもいいからずっと友也の彼女でいたい。

偽者だとしても構わない。

友也の彼女っていうポジションを失うのが怖いよ。

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