いつか、きっと。
落ち着かないのは友也との関係に悩んでいるからだけじゃない。

私の人生においてとても重要なことが待ち受けていたせいでもあった。

それは、就職試験。

私は高校進学の時から目標が決まっていたから、そこに向かって頑張ってきた。

友也からのアドバイス通りにJ商に進学したんだし。

J商で就職希望はごく普通のことだけど、誰でも自分が希望する就職先を選べるとは限らない。

どこの求人先でも就職試験を受けることができる人数の枠が決まっているから、その枠内に入るためにはそれなりの努力が必要だ。

学校に来た求人票を見て自分が希望する就職先を選び申請を出す。

希望者が多い場合は校内選考が行われ、選考に通らないと試験を受けられないのだ。

私が希望するのは、長崎にある企業の中で最大手と言っても過言ではないと思われる……M重工業。

関連会社や協力会社も数多くある大企業なのだ。

私と友也のお父さんも、M重工関連会社に勤めている。

私たちが住んでいる"Mアパート"は、M重工の社宅でもあるし。

M重工を第一希望に掲げ、勉強を頑張ってきた。

部活でも就職に有利になるようパソコンのスキルを身に付けてきた。

友也も以前言ってたけど、M重工からの求人には特別枠がある。

他の高校はどうか分からないけど、J商の卒業生を採用したいということらしい。

だから私もその特別枠を狙っていた。

就職試験なのだから勿論筆記テストがあるけど、面接が重視されるみたいだし、J商の卒業生は就職後も評価が高く期待が大きいとのことだった。

問題は校内選考を通過できるかどうかだけど、成績は友也と勉強会を度々してきたお陰でかなり良くなっていた。

M重工の特別枠は二名。

かなり厳しく狭き門だけど、成績上位者は地元の大手銀行や有名デパートを狙っている人もいるだろうし、希望がないとは言えない。

いよいよ校内選考の申請書を提出する時期になり、私は迷わずM重工業希望で出そうと準備していた。

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