いつか、きっと。
それからの残り少ない高校生活は慌ただしく駆け抜けていった。

夏休みが明けて、二学期になってすぐに"Rエンジニアリング株式会社"の就職試験を受けた。

物凄く緊張したけど、練習のお陰か面接では笑顔でハキハキと明るい自分をアピールできたと思う。

一般常識の筆記テストも落ち着いてできた。

「大丈夫、きっと大丈夫」

面接での手応えも感じられたし、筆記テストも特に難しいことはなかった。

だからきっと大丈夫。

そう自分に言い聞かせても、不安で不安で仕方なかった。

『明日美なら合格間違いなかけん心配すんな』

友也も毎日励ましの言葉をかけてくれるけど、結果の通知が来るまでの一週間はドキドキでたまらなかった。

もしも不採用だったら……。

そんな私の心配をよそに、担任の鈴木先生は職員室でさらっと言った。

「生田、就職内定おめでとう」

「え!?あ、ほ、本当に?あ……ありがとうございます!!」

友也にも報告したら、自分の事のように喜んでくれて……。

だけど友也は大事な受験を控えているから、友也が大学合格したら一緒にお祝いしようねって約束したのだった。

友也の志望校はN大学。

小学校の教師になるのが夢だから、教育学部ということになる。

大学の入試って言うと、センター試験とかニュースでも話題になるからなんとなくイメージは出来てたけど、大変そうだよなぁ……。

まあ友也だからなんの心配もないんだろうけど。



「えっ、大学にも推薦試験ってあると?」

「うん。N大の推薦試験はセンター試験ば受けんでよかとって。試験は十一月にあって、合格発表は十二月の頭くらいらしか」

お互い就職試験や受験のことで慌ただしくあまりデートも出来なくなってたけど、定期券は毎月買わないといけないから月末のデートだけはずっと続いていた。

私は二学期に入って早々に就職先から内定をもらえたけど、友也の受験が終わるまでは心が落ち着かないと思っていた。

友也も先生から推薦されるらしいという話を聞くことが出来てついはしゃいでしまう私。

「友也すごかたい!センター試験受けんでよかとやったら、クリスマス前には結果の分かるってこと?やったね!」

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