我の日々より難解な
 ああ、私は今一種の哲学と出会っているのだ。きっと君は哲学そのものなのだ。
 「惜しいけど違うよ」、君が一息つく。「でも、もう少しだよ」
 すると突風にあおられ、私は芝生の上に落下した。色々な服装の老若男女が私を取り囲んでいた。さっきの犬もいる。
 「どうしたんですか」「ワンワン」「大丈夫ですか」「何があったんだよ」
 周囲の野次がうるさく、私は急いで人ごみを掻き分けて逃げた。ところが人ごみは一向に消えず、疲れた私はその場で倒れこんでしまった。そこはタイル敷きだった。私の頭からは血が噴出し、そのままタイルの間を流れてくのを私の目はみている。
 ああ、痛い。嫌だ。死にたい。殺したい。ああ。
 恐ろしいほどに不の感情が湧き上がってくる。何だろうこれは、狂気、いや悪と言ったほうがいいのかもしれない。そうだ。
 「やっと気付いたようだね。そう私は君の理性だよ」
 声だけが頭に響く。そしてそれはだんだんと小さくなって聞き取れなくなるのと同時に私の意識はとんだ。

 目が覚めた。やはりあれは夢だったのだ。しかし何だっただろう。とりあえず私は適当に着替えて、買い物に行った。そして家に帰ると、買ってきたセメントで生臭い湯船を埋めた。その瞬間に自由と快楽を感じた私は、その場で自慰行為をした。
 もう一度服装を着替えた後は、大型のオートバイに跨り明け方の道を静かに走った。私は未来に向かった。
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