課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 


 雅喜がロビーから、スナイパーのような目で油断なく、外の様子を窺っていると、
「お疲れ様でーすっ」
と三上がやってきた。

 あれが見合い相手らしいと三上に教えてやると、三上は窓の外を見、

「えっ?
 めちゃくちゃ可愛いじゃないですかっ。

 あんな子、見合いに来るんですかっ?」
と叫び出す。

「じゃあ、お前も見合いしろ」

「嫌ですよ。
 っていうか、羽村、乗り気じゃないって言ってませんでした?

 なんで彼女にマフラーとかかけてやって、にこ、とか微笑んでんですかね~?」

 あれじゃ、女の子イチコロですよ、とよく喧嘩しているわりには、羽村の評価が高い三上は言ってくる。

「……条件反射だろう」

 本物のスケコマシだな、と思っていた。

 だが、確かに、羽村は、いい奴でないこともないこともないので――。

 真湖の側をチョロチョロしてないで、さっさと片付いて欲しいな、と思いながら、雅喜は、歩いて行く二人を見送った。



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