課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
駅まで送っていく、と羽村は彼女に言った。
「いえ、そんな大丈夫です」
と彼女は言うが、
「いや、心配だから」
と羽村は答える。
いや、心配だから。
そして、不安だからだ。
このまま家までついてきそうで……、と羽村は思っていた。
「そういえば、僕、何時に終わるかわからないのに待っててくれたの?」
と訊くと、はい、と言う。
「もしかして、学生さん?」
と羽村は訊いてみた。
どうも働いてる風には見えなかったからだ。