課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「ごめん、真湖りん。
はい、貢物」
と羽村は玄関先で、こんなに食べられません……と思うくらいの量のコンビニスイーツの入ったビニール袋を突き出してきた。
「ええっ?
こんなにっ?
じゃあ、みんなで頑張って食べましょうっ」
と羽村の後ろに居る彼女をチラチラ気にしながら言うと、
「みんなで食べなくていいよ。
賞味期限が長いのもあるから。
ああ、彼女にはひとつあげてくれると嬉しいけど」
と羽村は言ってくる。
沈黙があった――。
実に可愛らしい、少女のような女が羽村の後ろに立っている。
白いフード付きのふわふわのコートを着た、いまどき見ないような、カラスの濡れ羽色の長い髪の彼女は、なんだか、白ずきんちゃんと言った雰囲気だ。