課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~




 お茶をしている途中で、二人ともまだ食事をしていないことがわかったので、ほぼ残り物で申し訳ないが、晩ご飯を出すことにした。

 まあ、おかずが足りない分は、酒で補ってもらおう、と思った真湖は、雪乃に、
「……お酒、呑める年なんですよね?」
と訊いてしまう。

 なんだか少女のように見えたからだ。

「はい、大丈夫です。
 時折、意識は飛びますが」
と雪乃が笑顔で言ってきたので、あまりアルコール度数の高くない缶チューハイを出した。

 しばらくすると、ずいぶん酒の入ってきた羽村が、
「僕さあ、子供の頃は座ってられない子どもだったんだよねー」
 などと語り出す。

「今は動くのめんどくさいんだけどさ。

 小学生の頃は、授業中も座ってなくて、怒られてた。
 だって、ずっと座ってたら、エコノミー症候群になると思ってたんだよ」

「かなりめんどくさい小学生だったんですね……」
と真湖は呟く。

 なにかこう、想像通りだが。
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