課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~




「あれからどうなったんだ?」

 羽村は社食で雅喜にそんなことを訊かれた。

 雪乃のことのようだ。

「どうもこうも。
 たまに帰り道に居ますよ」

「で?」
と他人の色恋沙汰には興味ないはずの雅喜が突っ込んでくるのは、自分を真湖の側から追い払えるかもと期待しているからだろう。

「で、もなにもないです。
 それで、駅まで一緒に歩いて、じゃあって」

「なにそれ、面白くない」
とまた三上がいらぬ口を挟んでくる。
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