課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「別にお前に面白いと思ってもらわなくていいが……」

 そう言いながら社食を見渡す。

 会社辞めたら、此処に来ることももうないか。

 そう思って。

 入社して、初めて人事の人に此処に連れて来られたときのことなど思い出して、しんみりしてしまう。

 三上が相変わらず陽気になにか話していて、雅喜が、うんうん、と頷いているのに、花田が後ろの席からなにか突っ込んで言っている。

 ガラス張りの社食はいい日差しが差し込んでいて、いい感じの呑気さだ。

 うん……。

 此処を離れるのはやっぱり寂しい気がするな~と思っていると、三上が、
「そういえば、お前、会社辞めんの?」
とこちらを振り向き、ズバッと訊いてきた。
< 76 / 138 >

この作品をシェア

pagetop