課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 腰の位置が高く、スタイルがいい。

 コートのウエストが締まっているので、脚の長さがよくわかった。

 誰だったかな?
と知り合いの女性の顔をいろいろと思い浮かべてみたが、数が多すぎて、よくわからない。

 だが、こんな子だったら、忘れないような、と思ったとき、彼女は言ってきた。

「羽村さん、私と結婚してください」

 雪が彼女の黒髪に、ふんわり落ちて綺麗だな。

 そんなことを呑気に思ってしまったのは、一瞬、現実逃避してしまったからだろうか。

「ごめん。
 よく聞こえなかったんだけど。

 今、なんて?」

「羽村さん、私と結婚してください」
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