課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
好きになりなよ
夕食を食べたあと、ピンポーン、といきなりチャイムが鳴って、ソファから真湖が立とうとすると、雅喜が、
「待て」
と真湖を止めた。
「……嫌な予感がする」
お前は出るなと言う。
そのまま、スパイのような面持ちで、インターフォンから外を見た雅喜は、
「……居留守を使おう」
と言い出した。
「羽村さんか、三上さんでしょ。
上がってもらってくださいよ」
と真湖は苦笑いして、そちらを窺いながら言う。
「仕方ない。
真湖が入れと言うから、入れ」
とインターフォンに向かって偉そげに雅喜が言い、外で羽村が、
『鍵開けてくれないと入れませんよっ』
と叫んでいた。