不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「蓮見!家に乗り込むぞ!」

動けないでいる私の腕を澤田が掴み、タクシーに向かって歩いて行こうとした澤田の手を田端が引き剥がした。

「澤田、お前は江藤送って一緒に帰れ。蓮見は俺たちに任せて先に行け」

「いや、でも…」

「いいから行けよ!
江藤を不安にさせるなよ」

田端の言葉にはっとした澤田は、すぐに菜摘にかけより

「ごめん」

と小さな声で菜摘に謝った。

二人が駅に消えて行くのを私はかろうじてつくった笑顔で

「私は大丈夫だから、二人とも気を付けて帰ってね」

と手を振った。

二人が見えなくなって……

私の目からは一気に涙が溢れだした。


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