不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
香田さんの家に向かう車中田端は

「蓮見、香田さんのこと今も好きだろ?」

と聞いてきた。

「うん…」

浮気…?

ううん、もしかしたら私のほうが遊びだった…?

違う!

香田さんはそんないい加減な人じゃない。

きっと、私が嫌われてこんな中学生みたいな恋愛ごっこがあきてしまったのかもしれない。

経験豊富な香田さんと大人の恋愛をしたかったけれど、私には彼の望む恋愛がよくわからない。

昨夜の光景は目に焼き付いて離れないけれど、そう簡単に嫌いになるはずはなかった。

「昨夜のあれはさ、確かに香田さんの車だったけど、俺たち香田さんが乗ってるの見たわけじゃないよな?」

「えっ?」

田端の思いがけない言葉にはっとする。

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