不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「いいよゆっくりで。
会う決心できたら一緒に行こう」

エンジンを切った田端は、シートベルトを外して大きく伸びをした。

目を瞑ってゆっくり呼吸を整える。

タイヤ交換をしてくれた香田さん、告白してきた香田さん、初デートの香田さんと私にだけむけてくれた笑顔が脳裏にうかび、不機嫌で無愛想な彼の顔も一緒に思い出された。

大好きでたまらないいつも不機嫌な彼。

うん、私は蓮司がどうしようもないくらい好き。

絶対なにがあっても彼を手放したくない。

「行こう、田端」

頬を叩いて気合いを入れて私たちは車からおりた。

香田さんの部屋は五階。

エレベーターを待っていると後ろから女性の声が聞こえてマンションの住人だろうかマンションのエントランスに人が入ってきた。

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