不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「田端…」

背後から香田さんの低く怒っている声が聞こえてきた。

「明莉離してもらえる?」

「嫌ですね」

田端が強い口調でぴしゃりと言い返した。

「…離せ…触んなよ明莉に」


香田さんの言葉に抱き締める腕に力がこめられた。

「俺たちに納得できる説明してもらえますか?」

「はぁ?
何を説明すんだよ」

背を向けているのに香田さんがとても苛ついているのがその口調でよくわかる。

それでも田端は怯むことなく言い返した。


「その隣にいるさっきまで腕を組んでいた女性について説明してもらえますか?

それから、昨夜俺たち駅前で香田さんの車見たんです。

運転手の顔は見てないんですけどその女性とキスをして、彼女を助手席に乗せていっちゃったんですけど、そのせいで蓮見寝てないんです。

昨夜から泣きっぱなし。

蓮見に触れたいなら納得いく説明きちんと蓮見に、、、!!」

田端の言葉が終わらないうちに私は後ろから香田さんに肩を捕まれて、その腕の中にきつく抱き締められて

「明莉…」

香田さんの切ない声が耳に届いた。
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