不機嫌な彼と恋のマジックドライビング

「ご飯も飲みにも行きますけど、同期会みたいなもので、経理の菜摘や田端、豊田営業所の前園も一緒です！

誤解しないでください！
二人じゃありませんから！」

「へーそうなんだ。

だそうだぜ？みなさん」

片瀬さんはそう言ってクスリと笑った。

「蓮見ちゃん、俺たちの中で人気者だからね。
末っ子タイプのほっとけないかまいたいタイプ。
みんな俺たちの会話をさっきから興味津々で耳ダンボにしてきいてるよ」

事務所のデスクに目を向けると、居合わせた人たちが手を止めてみんなこちらを見つめていた。

チラリと見た香田さんは、一瞬目が合うと、直ぐに逸らされてその手はまたパソコンのキーを叩たきはじめた。

相変わらずの無愛想で無表情な綺麗な横顔は、いつもの香田さんだ。
ただ少し眉間にシワをよせてへの字の口は不機嫌さを表しているようで、昨日見た笑顔は目の錯覚なのかと思ってしまう。