不機嫌な彼と恋のマジックドライビング

「おっと！こんな時間か」

片瀬さんがチラリと時計に目をむけた。

「仕事の話してるから澤田あっち行け」

片瀬さんが片手で追っ払う仕草をすると澤田は

「邪魔してすみません。
じゃあまたな、蓮見」

とカウンターの奥に入っていった。

「車のキーを預かっていいかな？

午後イチの作業になる。
終わったら内線かけるからキーをとりにおいで。

車動かすのも作業も香田がやるから。

蓮見ちゃんの車は誰にも触らせたくないだろうからね」

「えっ？」

片瀬さんの言葉にドキンとする。

そんな会話が聞こえていたのかパソコンの前から立ち上がった香田さんは、私の目の前に来ると私の車のキーをつかんだ。