不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
ショールームを通らずに、逃げるように自分のデスクに戻った。

誤解をときたかったけれど、泣きそうな顔をしたまま、仕事中の香田さんに近づけなくて、どうしていいのかパニックになっていた。

菜摘も回りの人も、蓮見は可愛い、モテて羨ましいなんて言うけれど、私は今まで誰とも付き合ったことがない。

何故なら四人兄弟の末っ子の私は、三人の兄に溺愛されている。

嘘がつけなくて、すぐに顔にでてしまう私はいつも兄たちに邪魔されてきた。

好きな人ができればあっという間にバレてしまい、告白されれば相手に凄み、二十四になった今もなお私は恋愛音痴だ。

キスだってしたことがなければ、それそ好きな人と手さえ繋いだことがなくて、恥ずかしくて誰にも言えない私の悩みだ。

顔がすぐ赤くなるのなんて当然で、いくら男兄弟の中で育ったからって、兄以外の異性に対する免疫力はゼロなのだ。
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