不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
こんなイケメンにいつから私は好かれていたかなんてずっと気がつきもしなかった。

「明莉が入社してきてからずっと俺は明莉を見てきた。

いつも少し早く出勤してきて、ショールームとトイレに花を飾ってくれてただろ?
外の花壇の手入れもしてたよな。

業者にまかせればいいのに枯れた花を摘んだり、雑草抜いたり。」

前を向いてハンドルを切りながら、目を細目ながら話す香田さんの横顔を私は黙って見つめていた。

何気なくやっていた日常を、誰かが気にかけて見ていてくれたことが嬉しくなった。

「笑顔が可愛くて、いつもにこにこしていてすぐに照れて赤くなって…。
そんな顔を俺だけが独り占めしたかった」

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