不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「機嫌直してよ」

「…直しません!
私、怒ってます!どうしてこんなよく見えるところにあとをつけたんですか!これじゃ…家に帰れません…」

お店に入る前に香田さんの唇が首筋に触れたのはわかっていた。

先程トイレの鏡を見て見えるところにくっきりつけられたキスマークに私は愕然とした。

このまま帰宅したら、兄たちに何を言われるかわからない。

電車で出勤した今日も、同期会の飲み会だと伝えてある。

仕事だってこのまま行くわけにはいかない。

それなのに、怒る私の横で香田さんは、怒る私を見て楽しんでいる。
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