不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「帰れないなら家に泊まる?
大雅(たいが)今夜は帰ってこないから俺一人だし」

「えっ…」

香田さんの言葉に固まった。

さっきはじめて知った香田さんの家族構成。

ご両親は高三の時に、お父さんの転勤で福岡に引っ越し、お兄さんと弟さんの三人で東京に残り暮らしていると。

お兄さんは、去年結婚して家をでて、今は大学四年の弟さん、大雅くんと二人だと。

まだまだ自分には先の話だと思っていたお泊まりデート…。

香田さんの妖艶に笑う瞳にドキリとする。

「決まり。夜景でも楽しみながらドライブしようかと思ってたけど、明莉ともっと近づきたい」

伸ばされた手がキスマークに触れる。

「これはあやまらないよ。
わざとだから。
見えないと意味ないから。
…回りのやつらに見せつけなきゃ意味がない。

あんなコスプレした明莉が悪い」

そう言って車を走らせた香田さんの言葉に頭の中はパニック状態だ。

初デートからのお泊まり…。
それを意味することを想像して、今日身に付けている下着を思い出す。

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