不機嫌な彼と恋のマジックドライビング

想像以上にモテ男でした

翌々日、キスマークはすぐには消えなかった。

見えてしまう位置なので絆創膏をはろうか悩んだか、逆に目立つので結局そのままにして出勤した。

気づかれないかびくびくしながら一階に行くと、顔を会わせた片瀬さんは目ざとく見つけて、近くに香田さんがいることを確認しながら私をからかう。

「蓮見ちゃん、首のところ赤くなってるけど虫刺され?」

「…っ!そうみたいですね。
朝起きたら赤くなってて」

赤くなってアワアワする私を片瀬さんは楽しそうに眺める。

「ふーん。朝起きたらって随分大きな虫に刺されたんじゃないの?

朝まで一緒にいた虫に」

「えっ?朝まで…?」

片瀬さんの言葉の意味がよくわからなくて、首を傾げていると

「あれ?さっそく香田んとこ泊まったんじゃないの?」

ストレートな片瀬さんの発言にすぐさま私は真っ赤になる。

「泊まってません!」

思っていたより大きな声がでて、皆の視線が集まり、チラリと見た香田さんは目が合うと微かに口角をあげて笑い、片瀬さんに視線を向けてすぐに不機嫌になる。

私はそんな二人や皆の視線に耐えられなくて、慌てて一階から逃げ出した。

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