不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
 少し茶色がかった瞳には、かなり酔って目がとろんとしている私が映りこんでいた。

「蓮見、お前にはあの人手におえないよ。
お前には、俺ぐらいが丁度いいんだよ」

切なく揺れる瞳にじっと見つめられて、私ははじめて澤田を同期としてではなく、異性として意識してどきりとした。

一瞬揺らいだ私の瞳に気づいた澤田は、そっと私の手を握った。

「なんで俺じゃねぇの?

蓮見のこの手を握るのは、俺じゃダメなのか?

女なんて選びたい放題なんだぜ?
別に蓮見じゃなくたっていいだろ」

握る手に力がこめられ、熱を帯びた瞳がじっと私を見つめる。

「…どうしてそんな酷いこと言うの…?
私じゃ蓮司の隣は不釣り合い?」

鼻の奥がツンとして、澤田の瞳にうつる私は眉を下げてとても…情けない顔をしていた。


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