クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を
制服姿の宮沢 潤(みやざわ じゅん)だった。
当たり前みたいに床にぺたんと座り、制服のネクタイに指をかけて緩める。
宮沢 潤、高2、17才。
真依とは幼稚園・小学校・中学校・高校とずっと一緒で、幼なじみだ。
ちなみに、高校二年生のクラスは偶然に真依と潤は同じクラスだった。
潤は学校から自宅に一度帰り、学校の鞄だけをすぐに置き終えると、そのままお決まりのようにほぼ毎日直行する先が真依の家だった。
お菓子を食べながら話をする真依。
「もぉっー、だから、いつも勝手に入ってこないでよー!」
「いやっ、俺は、ちゃんとインターホンを押したし……」
「だから、私、“いいよ”って言ってないの。玄関の扉を開けたら、階段をのぼって、私の返事を聞かずに勝手にドアを勢い良く開ける。ここ、私の家で、ここ、私の部屋なの。勘違いしないで、潤の家じゃないから、ほぼ毎日のように来て……」
「ここ、居心地が良い……」
「そういう問題じゃないでしょ!」
「ごめん、今度から気をつける……」
しょんぼり気を落とす潤。
顔を上げたかと思うと真依をじっと見ている。
「ねぇ、私の方をどうしてじっと見ているの?」
「おもしろいから」
「雑誌を読みながらお菓子を食べてるだけだよ」
「真依の顔が可愛い」
「そんなことを言っても何も良いものが出てこないからね」
「癒される」
「あ、──っそう」