クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を
・第四章
……8月の下旬……
……2学期……
夏休みが終わり、2学期の始業式があった日。
容赦なく強い日差しが照りつけて、蒸し暑い、学校の帰り道。
真依と潤、今日は部活動がなくて河川敷のそばをゆっくりとしたペースで歩き、小さかった頃の話で盛り上がっている二人。
「ねぇ、潤、覚えてる?」
「ん、──何を?」
「幼稚園の時にー……、」
「……幼稚園?」
「──もう、忘れちゃった?」
「何、みかん狩りの時の話?」
真依が「ちがう、ちがう」と少し笑いながら首を横に振る。