クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を
真依が潤に向かって大きな声で叫ぶ。
「潤、……もぉ、いいよー。もう、いいんだよ!」
潤が振り向き、「どうして、真依が、大切にずっと持っていた物だろう?」と真依の顔を見ながら言う。
「だって、……もお、いいの!」
「なんでなんだよ──!」
「潤、探さないで、お願いだから!」
「俺、絶対に、探してから帰るから!」
潤が雨に濡れながら必死に小さな指輪を探す。
──潤、なぜ私を怒らないの?
「真依、先に、帰ってていいよ」
「潤、探すの止めないんだったら……。私、本当に帰っちゃうよ──」
潤が「ああ、いいよ」と返事をして俯いた時、雨がきれいにやみ始めた。
「・潤──」
「あ、あった!」
ずぶ濡れになりながら、嬉しそうな笑顔で小さな赤い指輪を持って私に見せる潤。
あの顔、昔、じゃがいも掘りに行った時、潤が大きなじゃがいもを見つけた時の顔と一緒だ。