クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を


潤は時折、その時の事故の状況や亡くなった母親の顔、そしてその時の黒猫の顔を急に思い出し、ずっと頭から離れずに苦しんでいる。





そして、もう一つ──。





それから、時が流れ。




翌年の4月の初めに、潤の父親が再婚をした。






妻を失った悲しみに日々くれていた潤の父親。





行き先のクラブで何度か顔を合わし、意気投合をしたホステスが今の再婚相手に。





高校2年生の潤、雰囲気が少しずつ変わっていって元気がない。



私の前では空元気な潤。




絶対に、無理してる。





私の知っている潤は、こんな人じゃない──。





そして、前よりも、もっと頻繁に私の家へ来るようになったのである。

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