クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を
・第八章
……12月……
十代ということもあり、回復力の早い潤は予定よりも早く足の骨折が完治して、普通にあるけるようになっていた。
鼻から吸い込む空気はとても冷たく、体の芯までぐんと冷え込んでくる。
灰色の冬の曇り空はなぜか物悲しい。
12月の初旬、夏美の葬儀がしめやかに行われた。
参列者は父親と俺と夏美の両親と夏美の仕事仲間が少し来たくらいだった。
葬儀を途中で抜け出して河川敷の草原に座って川の流れていく様子を見ている潤。
時々強く吹きつける風が潤の頬をかすめ、座っている草原の地面もひんやりと冷たく潤の体温を少しずつ奪っていく。