クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を
葬儀場にいるよりは、ここの方が断然いい。
……嫌だったんだ、俺は嫌だったんだ。
やっぱり、今でも夏美を母親とは認めたくなかった。
夏美のことを、俺は最後まで許せなかったんだ……。
葬儀場では一悶着があった。
夏美の葬儀には出たくなくて、俺は父親と言い争った。
父親がしばらく無言で俺の顔をじっと見つめた後『好きにしろ!』と俺の胸ぐらを掴んでいた手の力がゆるんだ隙を狙って葬儀場を抜け出した。
こんな俺じゃ駄目なのかっ──。
こんな時、この河川敷に一人は辛すぎる。
と、空を見上げて眺める潤。
真依のことをふと思った。
──真依に、会いたい……。
真依は相変わらず目を覚まさない日が続いていた。