witness 体も魂も担保にして働く
入社の1日前に、
面接官の店長から電話がかかってきた。

実は、
 店舗名が違う店舗があり、
そっちに入社になってるから。

店舗の最寄駅は同じで、
場所と店舗名を伝えられ、
 明日からヨロシクと、
電話を切られた。

ウキウキとドキドキとやる気を秘めて、
店舗へ初出社をした。

まずは、誰もいない。
間違えてたのかと不安になったが、
9時開始に8時半前に到着をしてるので、
店舗前で待つことにした。

開店10分前に、店舗内に人影がみえた。
スタッフ用の裏口があるのかと思っていると、
突然自動ドアが開き、男性が出てきた。
 
 ガシャガシャと看板を出している。

慌てて挨拶をする。

 始めまして、本日より入社します。

その人は自分をチラッと振り返り、
 あー、今日からの人。
 (この人がチーフ職の男性)

店出しを邪魔するなという雰囲気と、
なんかそっけない空気を出している。

いつのまにか、
店の中には2人の女子もいた。
 明らかに年下だなと思った。

挨拶をすると、先ほどと同じ反応をする。

女子は机周りの掃除をしていた。
灰皿に入った大量の吸殻を、
紙の入ったゴミ袋に捨ててる。

また1人男性が出社をしてきた。
今まで掃除をしていた3人が一斉に、出社した男性の前に走り、

 マネージャーおはようございます!!

と、
大声で頭を45度以上下げて挨拶をしたのだ。
声量や挨拶の仕方もびっくりだが、
今までの怠そうな空気が、
ピーンと張った動きに焦った。

その男性に、自分も挨拶をすると、
まずは朝礼やるから一緒に並んで見ててと。

看板を出していた男が、
大声で日付と挨拶を叫ぶ。
女性達も挨拶を叫ぶ。

営業成績の確認をして、

 今日宜しくお願いいたします!!
叫び朝礼が終了した。

入社の人と、マネージャーに呼ばれた。

マネージャーは仕事の前に、
一番大事な事、
それは、挨拶と気遣いだと言う。

当たり前と思うが、
出来ない人も沢山いるし、
しっかり教わろうと思った。

1、挨拶声量。声は大きく。
2、挨拶をする人を見つけたら、
  ダッシュで前まで走る。
3、コンビニ行くときは、
  買い物はあるかを聞く。
4、タバコを出したら火を付ける。

この4つが、出来ないとここ(会社)を
辞めることになると言われた。

挨拶は理解できるが、
タバコの火は意味不明である。
自分は、タバコ吸わないが、
マネージャーは、
 ライターは必需品だから買っといてねと。

マネージャー含め働いてる4人をみると、
全員タバコを吸っているし、
女子は未成年ぽい。

マネージャーがタバコを持つと、
女子の1人がサッとライターに火を付け、
その火で、マネージャーがタバコを吸う。

なるほどと思うが、
なんだこれはとも思う。
やらなければならないのかと。

昼ぐらいに、社長が、出社してきた。
マネージャー含め、
気合いの入った挨拶をする。
真似して自分も、挨拶をした。

社長は、こちらを見て、
 今日からの人か、ヨロシクと、
眠そうな顔でこちらを見ている。

社長は、自分の配属店舗の店長を兼任し、
さらに上には、会長がいると言う。

仕事のマニュアルを渡され、
着信電話の対応を簡単に学ぶ。

その後、
 会長のいるオフィスの電話番号を覚えて、
と言う。
会長から電話がきたら、
挨拶と名前を名乗ることを練習をする。

そうこうしているうちに、
18時になった。
 
仕事が終わる気配がしない。
求人票には、
18時までが定時と記載があったが、
聞ける空気ではない。
店舗内は、1日のタバコでモクモクで、
ライトの光が煙を照らしている。

結局、終わったのは23時すぎである。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop