あたしを知らないキミへ
「朋美!!」
朋美の彼氏が一回立ち止まってから、ゆっくりと後ろを振り返った。
そして、あたしの顔を見るなり驚いた表情を見せる。
朋美からは、付き合い始めた頃に彼氏の名前を聞いたことがあったけど、いつもは「ダーリン」って呼ぶから、つい名前を忘れてしまっていた。
だけど本人の名前を呼ぶよりも、朋美の名前を呼んだほうが、ちゃんと振り向いてくれる気がした。
「・・恵美加さん?」
朋美の彼氏は、そう言ったんだ。
そして、あたしは走って朋美の彼氏のところまで行った。
「突然すいません・・。少しだけ時間いいですか?」
朋美の彼氏は、少し眉間にしわを寄せたけど、
「・・はい」
そう言ってくれた。