あたしを知らないキミへ
3分くらい電車に揺られていたら、あっという間に駅に着いた。
「恵美加!またね!」
「うん。また明日」
朋美が電車を降りた後、電車の扉が閉まった。
そしてまた、電車が動き出す。

しばらくあたしは、窓の外を眺めていた。
もう季節は冬になり、外は寒くなった。
気が風に揺れているのが、電車の中からでも分かった。
やっぱ外寒いだろうな・・。
そんなこと思いながら、あたしは巻いていたマフラーをもう一度強く巻き直した。

「次は〇〇駅ー〇〇駅ー。お出口は右側です」
それから、車掌さんのアナウンスと共に駅が最寄り駅に停車した。

そしてあたしは、電車を降りた。

ふいに、冷たい風が吹いて、あたしの髪が風に乗って揺れた。
手袋をしていない手を、自分の吐息で温めた後、制服のポケットに手を突っ込んだ。

それからあたしは、本屋を目指す。
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