あたしを知らないキミへ
そして最後に卒業生の「仰げば尊し」を歌ってから卒業式は終わった。
不思議と、長い式のはずなのに眠くはならなかった。

アンタも今頃、卒業式が終わったのかな・・。

ふと、そんなことを思った。

それから後は、生徒玄関で友達や部活の人達で集まって別れを惜しんでいた。
あたしと朋美は、部活に入っていなかったから、その様子をベランダから眺めていた。

「卒業式終ったねー」
「そうだね」
「ねぇ恵美加」
「ん?」
「ちょっと下に行ってみない?」
そんな朋美の一言で、あたし達は下に向かった。

相変わらず、生徒玄関は大勢の人で賑わっている。
号泣して先輩に抱きついている後輩。
「また会おうね」そんなクラスメートの言葉に目を潤ませながら、満面の笑みで頷く友達。

そこには、色んな姿があった。
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