あたしを知らないキミへ
そんな人達を眺めていたら、

ドンッ・・・・

あたしは、すれ違った人とぶつかってしまった。

「ごめんね。大丈夫だった?」
心配そうな声が聞こえて、前を向いたら、
「あっ・・」
ぶつかった人は、美麗先輩だった。

びっくりして驚いているあたしに、美麗先輩はそんな声を漏らした。
なんだか、前の状況にほんのちょっとだけ似てる気がした。
美麗先輩も覚えていたんだ。

「あたしは大丈夫です」
「そっか。よかった」
そして美麗先輩は、安心したように肩をそっと撫でおろした。

いつものポニーテールを、今日は少しだけ高い位置で縛っている美麗先輩。
卒業式でもらった小さなピンク色のお花を持っている美麗先輩は、とても綺麗で素敵だった。

それから、美麗先輩はまた、前を向き直して歩いて行く。


だけど・・。
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