あたしを知らないキミへ
「美麗先輩!!」

あたしは咄嗟に、美麗先輩を呼び止めていたんだ。

美麗先輩は、驚いたように後ろを振り返った。

「ご卒業・・おめでとうございます」

そしてあたしは、美麗先輩に頭を下げた。

「ありがとう」

そして美麗先輩は、最高の笑みであたしに笑いかけたんだ。

それからまた、前を向き直して歩いて行く。
その姿を、あたしはしばらく見ていた。

「恵美加・・」
隣にいた朋美が、少しだけ涙目になりながら、

「よく頑張ったね」

そして、あたしを優しく抱きしめたんだ。

朋美の胸の中は、温かくて、あたしの目からも一筋の涙が零れ落ちたんだ。

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