あたしを知らないキミへ

卒業式も終わり、あたし達は近くの川原に来ていた。
川の流れる音がして、すごく居心地がいい。

あたしは、その場に大の字で寝そべった。
「あーー。気持ちいいなー」
「ほんとだねぇー」

耳を澄ませば聞こえてくる川の流れる音。
そして、風が吹いて髪を揺らす。

「ねー朋美・・」
「うん?」
「思い出したことがあったんだ。中学2年の夏にさ、たまーに見かける男の人に目がいって、そのたんびにいつもそいつを見てた。でもそれは、本当にたまにだけで、特に意味なんてなかった。だから朋美にも言わなかった。だけど、それは全部アイツだったんだ。バカだよなー。今までそのこと忘れてたんだよ?確かな恋になったのは、高1の夏だった。でも、今思えばあの時から、あたしの恋は始まってたのかなーって。ほんっとに気づくの遅せーよな。あれから何年経ってんだよって話だよ・・。2年だよ?あははっ。ほんとバカだよ・・あたし」
< 337 / 388 >

この作品をシェア

pagetop