あたしを知らないキミへ
「その中で何人の人が恋に落ちてるんだろうな・・」
「それってきっと、奇跡に近いことなんだね」
「うん」

どれほどの人が、人を好きになって愛すのだろう。
どれほどの人が、人を好きになって恋が終わるのだろう。
涙を流すんだろう。

あたしは、アイツのことを「運命の人」と呼んでもいいのだろうか。
もしそうなのだとしたら、あたしの恋は叶わなかったけど、朋美が言ったように、この広い世界の中でアンタに出逢って見つけて、好きになることができた。

やっぱりそれって、すごいことなんだよな。

「恵美加」
「ん?」
「本当にこれでよかったって思える?」
「うん。先に進むのはまだ時間がかかりそうだけど、後悔はしてないよ」

そしてあたしは、寝そべっていた体を起こして、立ち上がった。
それからあたしは、叫んだんだ。
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