あたしを知らないキミへ
「卒業式きちゃったね」
「そうだね。なんかまだ実感わかないし」
「あたしもだよ。本当に卒業しちゃうのかなって」
「信じられないよな」
「あたしもう泣きそうだよ・・」

そう言って笑う朋美だったけど、すでに目は潤んでいた。

「バーカ。早いし」
「あははっ」

あたしはそう言ったけど、本当は朋美と同じように泣きそうだった。
そして、しばらくしてから卒業式が始まった。

担任の先生が一人一人名前を呼んで立ち上がる。
卒業証明書をもらう時に、校長先生が「おめでとう」
そんな温かい言葉をくれて、あたしは泣きそうになった。

スムーズに式は進んでいって、最後はいよいよ「卒業生の歌」だけとなった。
隣は朋美で、すでに朋美はピアノの伴奏が始まると同時に泣いていた。
そんな朋美を見て、あたしもつられて泣いてしまった。
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