あたしを知らないキミへ
「仕事は慣れた?」
「だいぶ慣れたよ。先輩が親切にしてくれるから、仕事もやりやすいよ」
「そっか。よかったじゃん」
「もちろん大変なことだってすげーあるけど、恵美加がいるから頑張れる」
「今そういうこと言わなくていいから・・」

あたしは恥ずかしくなって、頼んだアイスティーを飲んだ。

「だって本当のことだし」

今みたいに平気であんなことを言ってくる斗真が、あたしはすごく好きなんだ。
それは、恥ずかしくなるかもしれないけど、素直に言葉にして伝えてくれるから、斗真の気持ちを一番に分かることができる。

「あ、そういえば俺、買いたいもんがあるんだよね」
「なに?」
「新しい服が欲しくてさ。でも正直俺あんま分かんないし、恵美加一緒に選んでよ」
「うん。いいよ」
「よっしゃ!」

そう言って、斗真が大げさにガッツポーズをする。
そんな斗真を見て、ついあたしは笑みが零れた。

あたし達は、お会計を済ませた後、斗真の服を買いにお店に向かった。
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